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文学談話室

おもにシナリオ脚本を中心に小説・音楽・旅行記など書いています

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童話「一箱のクレヨン」



童話「一箱のクレヨン」

ある日、トラックが駅前のぶんぼう具屋の前でとまりました。うんてんしゅさんはトラックから降りて段ボールの箱をかかえて「こんにちは」といいました。

店の奥から、おばあさんが出てきて「いま、だれも出かけていてわたしひとりるす番しているの、わたしも手つだうよ」
うんてんしゅさんは、床において段ボールを開けました。

中にはいろいろなぶんぼう具が入っていました。ボールペン、消しゴム、ノート、ふうとう、などをおばあさんといっしょにお店のいろいろなところに並べました。
「ごくろうさん」
おばあさんはそういっておまんじゅうとお茶をうんてん手さんにもってきました。うんてん手さんはちょっとおじぎをしてお店を出て行きました。

その中で一箱のクレヨン箱のクレヨン皆が箱の中で
「ねえ、ぼくたちを使ってくれる人はどんな人かなあ」といいました。
しばらくたって赤いランドセルを背負った小さな女の子がお店に入ってきました。おや、かずちゃん、がっこうの帰りかい」
おばあさんがききました。「そう、クレヨンほしいの」かずちゃんは、「うん」といいました。

おばあさんは、
「ちょうどいま新しいクレヨンが来たのよ、ふでで書ける水彩絵の具にもなるし」
かずちゃんは
「それちょうだい、いまお母さんが病院ににゅういんしているの、お母さん、お花が好きなので、お花の絵をかいてわたし持っていこうと思ってるの」
おばあさんは、かずちゃんのいうことを聞いて、
「お母さんがはやく直るといいねえ」
といいます。

一箱のクレヨンはお店のクレヨンを積んだ2番目にありました。かずちゃんは、クレヨンの前にきて「おばあちゃん、クレヨン取っていい」といいながら、クレヨンを取ろうとします。
一箱のクレヨンは「かずちゃん、ぼくたちは2番目だからえらんでね」
といっしょうけんめいいいますが、皆には聞こえません。
かずちゃんは3番目のクレヨンをえらび、「おばちゃん、これちょうだい」といって五ひゃくえんをおばあちゃんにわたして「どうもありがとう」といってお店を出ていきました。

つづいてはいってきたおきゃくさまは白いワゴン車から降りてお店の中に入ってきました。おきゃくさまはこの町から2時間も山奥に入った山里小学校の分校の高田せんせいです。
せんせいは、お店のクレヨンの前にきて、「これにしようかなあ」といって2番目のクレヨンを手に取っておかねをおばあさんにわたします。
一箱のクレヨンは先生がかばんにしまったので、うれしくなって皆で思わず「やったあ」といいました。

「せんせい、ごくろうさま、お茶でも飲んでいってください」といっておまんじゅうとお茶を持ってきました。おばあさんは「高田せんせい、ことしは寒いので山奥の分校も大変だねえ」といいました。せんせいは「うん、ここから車で2時間も入ったところだから雪もたくさんあって、野うさぎも冬ごもりしてるのか、学校の裏山にも出てこないよ」とおばあさんに答えました。

せんせいは「じゃあ、おばあさん、元気でいてね、今度くるまで」といってお店をでていきます。

「高田せんせい気をつけて帰んなさい皆によろしくいってちょうだい」
とおばあさんの声がせんせいの後ろから追っかけてきます。せんせいは白いワゴン車に乗り、エンジンを入れてハンドルを握って町の中をとおり抜けてやがて道がせまくなり林の中のまがりくねった道を登ってゆきます。

だんだん道のはじっこに雪が残っているところをすべらないようにしてこうして山里小学校の分校にたどりつきました。ここは冬の寒い間だけ、雪で道路も通れにくくなりこの山里小学校の生徒の皆はこの分校で雪にじっとがまんをして春がくるまでここでせんせいとともにすごすのです。

二日後に先生は一年生から三年生の7人のせいとにかばんの中から一箱のクレヨンを出して、皆に見せながら「このクレヨンを一週間だけ一人ずつあずけるので、皆の好きな絵をかいて、さいごのだれかが絵といっしょに持ってきてくれないかと皆に話します。

高田せんせいはいつも一年生から三年生までの7人のせいとをおしえています。だからさんすうの時間でも一年生と三年生ではちがいます。それで、みんな同じようなことをして7人がなかよくするには、今日買ってきたクレヨンで絵を皆にかいてもらおうかと考えました。

7人の生徒の絵を教室のかべにはり出して皆にそれぞれ賞品をあげようと思いました。
「せんせい、何でもかいていいのですか」三ねんせいの順君が聞きました。
「うん、何でもすきなものかいていいんだよ、さいごのだれかがせんせいに絵といっしょにもってきてくれないか」といいました。

「わかりました。せんせい」七人の生徒が元気よくこたえます。

「さあそれじゃ最初に三年生から書いてもらって最後は一年生にしようかなあ」とせんせいは、しゅっせきぼを見ながら「最初は三年生の順くんだ、そしてかなえさん、次に二年生の有紀子さん勇くんとしはるくんそして一年生に移って洋子さん、文彦くんが最後だ、いいね」
といいながら、せんせいはクレヨンの箱を順くんにあずけます。

「書き終わったら学校に持ってきてくれないか、このクレヨン」せんせいはそういって
「みなどんな絵をかいて持ってきてくれるかたのしみだなあとにこにこしています。

箱の中のクレヨンたちは、
「順くんがいちばん最初につかうのは、この中のどのいろだろう」と話しています。

順くんはランドセルにせんせいからあずかったクレヨンを入れて家に帰ります「ぼく、なんの絵を書こうかなあ」と考えているうちにおじいちゃんの顔を思い出しました。


「そうだ、僕はじいちゃんの顔をかこうかなあ」
箱のクレヨンたちはそれを聞いて「きっと茶色だよ、おじいさんの顔書くんじゃ」といっています。

順くんの家は学校から小さな川にかかっている橋を渡り国道に出てそれを沿って北に5分歩くと左側の黒い兵に囲まれた家がそうです。
お父さんはこの町のやくばに勤めていて、お母さんは近くの農協で働いていて、おじいさんが一人で留守番をしています「ただいま」といって戸を開けると、
中から
「順か、お帰り」というおじいさんの声がします。

雪囲いのある戸をあけると奥の部屋でおじいちゃんが「寒かっただろう、こっちにおいで」と手招きしています。
大きな柱が天井にあって部屋の真ん中には大きないろりがあって皆、家族がそこに集まる場所になっています。

大きなふるい柱時計がとつぜんぼんぼんとなりました。時計の針はごご3時なのにまどの外は白い雪にかこまれていてガラス戸が曇っています。
順くんは小さい頃まだ5歳のときだったでしょうか、暗い部屋から順くんの背のたかさまでもあろうかと思うような柱時計のぼん・ぼん・ぼんという大きな音が恐くてよく泣いたものでした。

「おじいちゃん僕恐いよ」おじいちゃんはそのたびに
「恐いことはないよ順」といって大きなたくましい日に焼けた手でしっかりと抱いてくれました。
順君はそんなおじいちゃんが大好きなのです。
それで学校でクレヨンを先生にわたされたとき、真っ先に僕はおじいちゃんの絵を書こうと思ったのです。

おじいちゃんは順君が部屋に入って肩にかけていた布で作ったリュックを置いてその中からクレヨンのはこを取り出します。
「順、寒かっただろう、おじいちゃんなあ、甘酒造っておいたから「甘酒、順くんのはじめて聞く名前です」
「寒い時にはからだをあたためるのがいちばんいいのじゃよ」おじいちゃんは立ち上がって台所にあった甘酒をあたためておわんに甘酒を入れてもってきました。
順君は目の前に差し出された甘酒にとまどっています

「飲んでごらん」おじいちゃんから言われると順くんは、おわんをもって一口飲みました」
「なにこれ白い米粒みたいのが」「それはなあ、お米で米の粕で作ると甘くなるんじゃよ」
「なんだかカルピスみたい」

このいなかでも街道そいにコンビニエンスストアができてから学校のともだちとときどきおにぎりとか
はんばーがーとか、カルピスウオーターとか買ってくるようになったのです。

「おじいちゃんは僕の宝物だよ、だって僕が知らないこまとか竹とんぼとか、竹馬とかいっぱいいっぱい作ってくれたんだもの」雪の深いこの山奥にも都会と同じようにテレビゲームが入ってきてこどもたちはこんなに自然がゆたかなところなのに外で遊ばなくなって家で過ごしてあそぶようになってしまったのです。

箱の中のクレヨンたちは「順くん、いつおじいさんの絵を書いてくれるのだろう」とささやきあっています

順くんはおじいちゃんの作った甘酒を飲みながら、
「おじいちゃん、今から僕、おじいちゃんを書いてあげるね」そういって箱の中のクレヨンを開けると16色のクレヨンたちはきちんと並んでいて「来た、来た」
とお互いの顔を見ながらいどおれ、ってます。
「順がおじちゃんの顔を、それはうれしいのう」
おじいちゃんは「それじゃ、きちんとせにゃあ」
ともういくらもない頭の白い髪の毛をくしできちんと直しました。

「おじいちゃん、じっとしててね」走ってとなりの部屋にいって引き出しから画用紙を取り出して帰ってきます。

箱の中のクレヨンは「順君、最初に何色でかいてくれるんだろう」茶色のクレヨンが「順くん、ぼくを使って」肌色のクレヨンも負けずに「私を使って、おじいちゃんの顔」と言い出しますがもちろん順くんにはきこえません

「おじいちゃん、いくよ」
おじいちゃんは順くんにいわれたからなのか、背中をまっすぐにして順くんの顔を見た。肌色のクレヨンに順くんの手が伸びたので肌色のクレヨンは思わず
「僕、やった」といってよろこびました。
順くんは、肌色のクレヨンを右手で持ちながら憩いよく画用紙いっぱいにおじいちゃんの顔全部をかきはじめます。

画用紙はつるつるするのでクレヨンもすべるように書いていくことが出来ます。肌色のクレヨンは「わあ、スケートみたい」と喜んでいます。
ええと、僕はといいながら肌色のクレヨンをおさめて
今度は黒のクレヨンと白のクレヨンを取り出します。

順くんはおじいちゃんのかみの毛をクレヨンを使って書いてゆきます。「ええとおじいちゃん白い毛もあるから」
そういって黒いかみの毛のところどころに白い毛をふやしていきます。「ええと、まゆ毛は」順くんはおじいちゃんのまゆ毛を黒いクレヨンで書いて行きます。
おじいちゃんはやわらかい弓のようになっていて順くんも一生けんめいです。

「次はおめめ」おじいちゃんの目は小さい目だけどとてもやさしく順くんもたいへん苦労しているようです。「おひげにお口でおわりだからね、おじいちゃん」そういっていっしょうけんめいで
「お口は赤だよね」
赤いクレヨンは思わず「わたしのばんよ」
といってよろこんでいます。
こうして10分でおじいちゃんの絵が無事にできました
「出来た、ほら、おじちゃんの顔」
順くんはそういって絵をおじいちゃんに渡します。
「順、ありがとう」おじいちゃんはそういって順くんを抱いてよろこんでいます。
「あのね、おじいちゃん、この絵はみなの絵ができたら学校でかざってみなで見るの」
「わしの絵を学校でかざってくれる」「そうなんだ、それまで僕、家のかべに張っておくからね」
順くんはおじいちゃんにいいました。

かなえさんは急いで玄関の戸をあけました。
おじさんがにこにこして「お母さんからでんわがあったので急いできたよ」
おじさんのうしろには、あの絵にかこうと思っている赤いいろの自動車がとまっています。
外はくらくなって山の上に赤いたいようが沈もうとしています。

かなえさんは急いで画用紙を持ってきて暗くならないうちに赤い自動車の絵を書こうと思いました。
台所からしいたけご飯のいいにおいがしてきました。
かなえさんは玄関の近くに止まっている赤い自動車を書くため部屋から小さないすを持ってきて絵をかきはじめます。

箱の中のクレヨンたちはまたさわぎはじめます。
「ええと、赤い色の自動車だから赤いクレヨンとタイヤの黒色だから黒いクレヨンだよね」
かなえさんはいすに座って赤いクレヨンで画用紙に赤い自動車のりんかくを書きます。
窓とドアを書いて
次は自動車のタイヤを丸く書いて行きます。
山の上の夕陽がそらを真っ赤に染めていましたが、やがて通りの街灯が点き始めて赤い自動車の影が伸びて行きます。「大変だ、急がないと、困ったなあ、夜になったし」

かなえさんは困ったようです」
どうしよう、弱ったなあ、そう思いましたが、ふと
「そうだ、赤い自動車が夜走ってることにしよう」
箱の中のクレヨンたちは「今度は黄色いクレヨンの出番だよ」黄色いクレヨンは突然のできごとにとまどいました。

「えっ、僕が」かなえさんの小さな手が伸びてきて黄色いクレヨンを取り上げました。そういいながら前のライトを黄色く塗って自動車が走ってるように前を灯りが照らしてるようにしました。

自動車はいかにも夜、走ってるようです。
窓を灰色で塗ってドアのりんかくを灰色でまとめて絵は出来上がりました。「ついでにおうち書こう」
かなえさんは灰色のクレヨンでおうちを書いて黄色で灯りを書きました。「できた、私の赤い自動車」

その時「かなえ、しいたけごはんが出来たわよ、おじさんも来てるから」「はあい」かなえさんは外でからだが冷たくなって玄関を開けて家の中に入りました。
おじさんも来てお父さん、お母さん弟も含めて5人でおいしいしいたけごはんを食べました。

夕ご飯が終わるとかなえさんは、
「おじさんありがとう、あたし赤い自動車書きたかった」といって皆に絵を見せました。
「かなえさんうまいねおじさんうれしいよ」
と喜んでいます。

翌日一箱のクレヨンをかなえさんは由紀子さんに渡します。由紀子さんは何を書こうかと思って腕組みをして校門を出てたちどまりました。かなえさんの頭には人形?いもうと?お母さん?バナナ?にしき鯉?とうずまいています。そのとき頭にひらめいたものがありました。そうだ犬のごん太郎を書こう。
犬のごん太郎は由紀子さんの家に来てもう3年目小さい時から由紀子さんはごん太郎を可愛がってきました











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