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文学談話室

おもにシナリオ脚本を中心に小説・音楽・旅行記など書いています

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中篇企業小説「大井田さくらのツアーコン日記」

大井田さくらは東京虎の門にある帝国観光旅行社のベテラン社員で、部下からはアネキといわれ部長までがすっかりさくらを頼っていて頼もしい存在であるものの、高度成長期に入社したこともあり、会社のため、自分のためにと夜も誰よりも残業するので恋人も出来ず、いつのまにか32歳を迎えてしまった。

そんなさくらは入社時、語学の堪能さが買われて旅行企画室に従事してきたので、上司の海外視察でヨーロッパに出かけたものの、実際にコンダクターとしては海外旅行にいけぬまま年輪を重ねてきた。

ある日、部長からアメリカ西・東海岸のツアーコンパニオンとして仕事を命じられるが、かねての念願が達成できて喜んだが、大下という入社間もないどうしようもない大下を連れて鍛えてくれといわれたさくらは大いに悩むのだった。

さくらは大下とともに成田国際空港に10日間のツアー少し大きい文字少し大きい文字客を引率して出発するのだが、同行の大下は彼女を困らせるのだった。

4月10日晴れ

朝の地下鉄虎ノ門駅、おびただしい人の波が狭いホームから改札口に流れて行く。

近くに溜池駅があり虎ノ門駅も狭いホームを改装したものの周辺のビルは立ち並び高層ビルが出現したためホームは依然として許容量を超えている。

大井田さくらもその中の一人で改札口を出て階段を駆け上ると目の前に帝国観光商事ビルがある。

信号を横断して向かい側道路を歩くとさくらは立ち止まって目を留めた。

さくらのビルの二件前の中華料理店の袖看板を見つめた。
看板には、
「おかげさまで開店10周年・ランチサービス」
さくらは、
「う~ん10周年かああたしも10年目かあ、おかげさまじゃないよ、ずっとあねごやっててさ」」
独り言を言ってると

「さくらお早うあなたなに一人ごと言ってんの」
「ちょっと私もうあの看板・・・・10年続けてみてるんだよ。考えちゃうよ」
といつもさくらの悩み事を聞いてくれる由香里に声を掛けられた。

二人は同期生で気心も知れていて、会社では上司の言うことを聞いてよく働いた。

そのため男子社員からあまり仕事に熱中してると嫁の行き遅れになるよと冷やかされていた。

「ねえ私今朝急いできたので食事まだなの、マックに寄らない」
「うんそうしようか」
二人は、ファーストフードショップに寄って注文を頼み、トレーにバーガーとコーヒーを載せて通りの人並みが見える窓際の席に座った。


「ねえ大下だけどああいう新人さあ私どうやって教育したらわかんないよ」
「どこの課にもいるんだよね」
と、由香里も答えてみたもののさくらになにか相談に乗ってあげたいのだが、実は同じ添乗員の田中和彦に困っているのだ。

「あの、昨日も私が仕事をしていると」
「お先ですさくらさん、僕は用事があるのでいい
加減に帰ってください。目にくまが出来てますよ」
なんて大下、平気で言うんだよ。

「はっ新人であなた大変ね」
でも私が悪いかも知れない、部長から呼ばれて
「うん、君はこの課で一番出来るからとか言われて」
皆、彼は態度がでかくて敬遠しているのに部長は、何でも私がどんなことでも引き受けるから、それに海外旅客部ができて私が一番古いから断れない自分に少しいらいらしていた。

さくらは新人大下が新入社員の研修を終えてうちの課に配属された時に部長から呼ばれてキャリアも実力もあって知識も豊富だから君しかいないとほめあげ
られて引き受けざるを得なくなってしまった。

さくらはそういわれると断りきれなかった。
「大下、気楽でいいね、私は自分の仕事を途中で投げ出すと帰って気になるの」

そう、さくらが帝国旅行観光に入ったときは、高度経済成長の真っ只中だった。

海外旅行客の急増とともに仕事は山ほど抱えていて少
人数で無我夢中に働いたのだった。

トルコナイル川の旅・イスラエル巡礼の旅・ギリシャ地中海の旅・ギリシャ遺跡の旅など打ち出した企画は当たってなぜか中高年の人たちの人気を呼んだのだっ
た。

さくらは新企画のために寝食を忘れて働いた。会社が海外旅行自由化により急成長して飛行機の増便とともに旅客を募集して旅行代理店として送り込まねばならなかった。

それで、特色ある新企画を立てる必要があった。

さくらは、課長、部長に自ら企画書を作るためによく現場の案内所有楽町、新宿などまた成田空港まで出かけたのだった。

由香里をはじめ5人で海外旅行アンケートを作り、新宿・銀座の現場案内所に出かけてカウンターに立つ皆とのコミュニケーションをよくするとともに、1000枚ものアンケートを行った。

時には休日でごったかえしている新宿駅のとおりに立って、用意してきたアンケート用紙をバインダーに挟んで「あの、海外旅行についての簡単なアンケートをお願いしております。ご協力いただけないでしょうか」と頭を下げて、
「ありがとうございます、では今一番行きたい海外旅行先と予算は」
と短時間に矢継ぎ早に聞いていき、まとまると、
「これを本社にもっていって集計しといて」
と新人にも頼んだものだった。

記入が終わると夕方、会社に持ち帰りPCのスイッチを入れて集計、終電にも間に合わず会社のソファーで仮眠を取る日もあったのだ。
その結果の新しい海外旅行コースは募集と同時に満杯だった。


さらに彼女は企画部時代に積極的に航空会社ともアプローチをして海外旅行の方面別パンフレットに現職航空会社の客室乗務員のこの旅行のお勧めのところと店の話を載せるなど、さくらのすさまじい男勝りの仕事に周辺は驚いて「彼女と一緒に仕事してみろよ、殺されちゃうよ」
と男性社員から恐れられていた。

「さくらさん、どうしてそんなに働くのですか、それじゃかさかさした気持ちになりますよ」
と聞いたのに対して、
「たしかに、だけど仕事がそこにあるから、征服したいから、その先になにがあるかわかんないでしょう、先も見ないであきらめるの」
と平然とこたえたのだった。

それを時代が変わったとはいえ、部下の大下のように人事のように言って動こうとしない新入りはどうしたらいいんだと悩んでいた。

今、低成長に日本も落ちてこの一、二年に入ってきた新人のなんと覇気に乏しいことか

6階を降りると帝国観光旅行海外旅客部のドアを開け
て二人は入った。

「お早うございます」
「ああお早う」
「お早うございます」

たがいに挨拶を交わしながらさくらは新入社員大下の
向かい側の席に座った。

「部長おはようございます」
「おはよう大井田君。例の件できた」
部長は、何かというとさくらを頼っていた。さくらもまた部長は私に仕事を任せてくれるし頑張らなければと考えて、ほかの社員が休んでも彼女は会社に出てき
てがむしゃらに働いた。そのため年休も消化しきれず山ほど残っていた。

そんなさくらの働き振りを見ていて人事の役員会で
部長は、「わが部の大井田さくら君は女子社員ですが、仕事は正確で語学も堪能ですし私の出した課題を片っ端から片付けてくれます」

大川人事部長が、「それは判るんだが男性社員で候補者もいるしね」
「判ってます。課長にとお願いしているわけではあり
ません、係長に勤務評定も充分推薦するだけのものを持ってます」

「う~ん、君のいうこともわかるが女性は結婚を控え
てるしなあ」
杉田専務が
「じゃ、主任ということでこれで勘弁してくれないか」
ということでさくらは海外旅行第一部の主任となったのだった。

そんなさくらは、
「ええまとめました」
さくらはバッグから資料を取り出して部長席に行った。

「部長これです」
「君、短時間でよくまとめたね、イスラエルの食べ物とか情報なかなかなくてね」

さくらの叔父は東和通商に勤めていた。部長は大井田さくらを信用していた。入社10年の最古参でベテランの彼女は、いつも部長の片腕的な存在だった。
「あたしのこと信用してくれてるのはうれしいけどさ・・・・でも何かと言うと、おおい、さくら君これって便利屋さんなのかなあ」
そんなことを考えながら最後には部長の言うことは率先して仕事をした。

でもいつもさくら一人の力ではどうにもならない難問題をぶつけられたのだった。今度も中近東イスラエルの食事についてまとめてくれるように頼まれたのだった。

「お願いです叔父様あたしを助けてください」
「さくら君からそういわれると僕も」
と現地の事務所に連絡してイスラエルの情報をあつめてくれた。旅行観光会社同士の競争はすさまじくツアー料金の引き下げとかツアー年代を高齢化社会時代の到来に合わせて新しい企画開発が必要だった。

ヨーロッパやアメリカ・東南アジアの国々へのツアーは企画も出揃って新しい販路としてトルコ・イスラエル・ギリシャなどの中近東諸国の旅行が帝国観光がこれから力を入れて他社にない特色作りを行うことだった。

それを時代が変わったとはいえ、部下の大下のように人事のように言って動こうとしない新入りはどうしたらいいんだと悩んでいた。

さくらは部長から信頼されて何よりも現地の食べ物・レストラン情報が集めにくいため部長からなにかというと情報収集を依頼されたのだった。

さくらは
「ルートがあるものですから何とか部長失礼します」
席に戻って机上のパソコンのスイッチを入れて海外ツアーの集客状況を見ようと思った。

そのとき、大井田君ちょっとと部長が呼んだ。
「おおいさくら君、君にお願いがあって」
今度はどんな難問題かしら、さくらはそう思いながら椅子を立ち上がって部長席に行った。

「はい」
「君に、今回・・・]

特に今回といわれたことにどこかツアーの添乗を頼まれるのかなあと推理した。
さくらはこの課でもう数年間も帝国観光のツアー企画を集めてきたパンフレット、現地資料、日本での収集資料を分析、具体化することには秀でていた。

「なんですか。今回って」
「君にアメリカ・東・西海岸10日間のツアコンしてほしいんだ」

「はっ?、この私に・・ですか」
さくらは心の中でゆかりに言ったこと本物だなと思った。

「ええと、本当ですかうれしいです。やった私はやりました」

長い間企画部の仕事をして、帝国旅行観光会社に入ったのは世界の各地を自由に添乗員として飛び回ることが夢だったのだ。

心の中で私30過ぎているし、初めてで強行軍だしとも心配が別の面であった。

「部長そのプラン強行軍ですよね、私を選んでくれたのはうれしいですがいきなり10日間って言うのが」
「ほかにだれも居ないしね、私を除いては来月皆出かけちゃうんだ。
 ベテランの山口君だけどインフルエンザで急に入院しちゃうし」

「ちょっと、待って・・・・・・・そうですか?。それでは・・・・お引き受けし」
あたしのように入社一〇年選手になると結構会社に忠節なのよねと思いながら部長の返事を待っていた。

「行ってくれるかね。、いやあ君のためにもツアコン経験してほしいんだ、出発はまだ4日間あるから準備して」
さくらは軽くお辞儀をして自分の席に戻ろうとした。

「あっ、さくら君、もう一つ、あの大下君も一緒に」
「はっ、大下・・・・大下をですか」
「だ、ダメです、ぶ、部長お断りします、大体私はこの課でベテランて思っておられるでしょうが私も出来ることと出来ないことがあります」

さくらは部長の席の前に戻って手をすり合わせて必死になって断ろうとした。

由佳里が「さくらさん、おめでとうございます。いよいよあねごの出番ですね」

さくらになにかというと突っかかってくる大下が苦手だったが、あたしが一番古株だし仕方がないよと心の中で思いながら軽く受け流した。

「って云うか、遅い・・・出番だよね」
「わたし大井田さんのこと尊敬しています」と言った。

さくらの向かい側に座っていた大下が
「アネごと一緒に僕もいよいよツア・コンの洗礼か」
「大下君、人ごとのように行ってるけどあんた」
「僕、アネゴを応援します。大丈夫です。アネゴはなんかあっても驚かないしなに僕は尊敬していますから先輩を」

「それって、ほめてるのけなしてるの」
大きな声に仕事をしている皆がさくらのほうを振り向いた。

「ちょっと大下君仕事のほうは」
思わず身を少し乗り出して顔は大下のパソコンを覗き込んでいた。

さくらは午後の会議に使う全国海外ツアー集客状況をパソコンでまとめていた。

入社10年海外旅客部全員からさくらは嘱望されていた。入社10年という長いキャリアからいつのまにか海外旅行の生き字引とさえ言われ部長の持田までもがさくらを頼りきっていた。

壁の時計は12時をとっくに過ぎていたのにさくらは
エクセルで集計の計算を行っている。

「さくら、もう昼休みよ社食いこうよ」
由香里がさくらの肩に手を置いて誘った。
「あっ、そっかそっか行こうか」
すでに海外旅客部は皆外に出ていた。自分は正午も気づかずに仕事をするなんて明らかに最近の若い子たちと違っていた。由香里に声をかけられなければ、まだEXCELLの仕事をしているところだった。EXCELLの集計をファイルに保存してパソコンのスイチを切った。


「あのねええ、由香里教えてほしいの」
「私でよければいつでも」
「じゃ外のレストラン行こうよ、あたしおごるから」
さくらと由香里はエレベーターで1階ホールに下りて外のまぶしい光の中に吸い込まれて行った。

さくらと由香里はレストランの窓際に座った。
「部長から是非って言われて引き受けたけ
ど・・・・・ああ困ったなあ。」

「困ることないよ。気を楽にしてやれば・・・・・ど
うって言うことないよ」
「それにさ、今朝話した大下までもお土産につけてく
れて」

さくらも部長からの突然の話、三泊程度の韓国、香港
ならばいいのだが、30歳を過ぎていきなり10泊のアメリカ東・西海岸ツアーに指名されて戸惑っていた。

私、何でも自身あったのに、一歩自分が引いちゃうのは歳のせいかなあとも考えた。
「ああ大下にはあんなこといったけど」
「あたしずっと前にヨーロッパのツアーの新しいパ
ックの企画でそれも部長とか課長のお供で行っただけよ」
「大丈夫よ、さくらさん頭いいしお客のクレームも機転利かせるし」

「いやだあ、あたしがカキフライ定食おごったからと
言ってほめ殺し」
「絶対大丈夫、さくらなら」
「由佳里、で世界中お客様連れて・・・・・・・何
回」「う~んと百回位かなあ」
「どうっていうことないよ、さくらさん頭いいし、経験長いし」

4月11日 くもり時々晴れ

翌日のことさくらが出勤すると、部内にさくらがはじめてツアーコンダクターとして外国に出かけることが知れ渡っていた。

「ああ、大井田君」
と部長に呼ばれた。さくらはまた何か部長の提案があるのではないかと心配しながら部長席に行った。
「はい、大井田さくらです」

「実はね、さくら君が乗るアメリカン・ウエスト航空だけど、乗務員労働組合と会社側の交渉がうまくいかなくて、ストライキに入る公算大だそうだ」

「はっ、ストライキ、じゃあたしのツアコンもないんですね」
「いや、万一ストでも非組合員で運行するそうだ」
「わかりました」
といって席に戻りパソコンのスイッチを入れて頬ずえをつきながら
「こんなのあり」

ツアーのスケジュール表を眺め、ためいきをついた。

大下が、「さくらさんも始めてのツアー旅行がストライキでは気持ち沈みますね」
と人事のような話かけをしてくる。

「あのさ、大下君あんたもいくんだからね」
「わかってます」

「部長そのプラン強行軍ですよね、私を選んでくれたのはうれしいですがいきなり10日間って言うのが」
「ほかにだれも居ないしね、私を除いては来月皆出かけちゃうんだ。
 ベテランの山口君だけどインフルエンザで急に入院しちゃうし」

「ちょっと、待って・・・・・・・そうですか?。そ
れでは・・・・お引き受けし」
あたしのように入社一〇年選手になると結構会社に忠節なのよねと思いながら部長の返事を待っていた。

「行ってくれるかね。、いやあ君のためにもツアコン
経験してほしいんだ、出発はまだ4日間あるから準備して」
さくらは軽くお辞儀をして自分の席に戻ろうとした。

「あっ、さくら君、もう一つ、あの大下君も一緒に」
「はっ、大下・・・・大下をですか」
「だ、ダメです、ぶ、部長お断りします、大体私はこの課でベテランて思っておられるでしょうが私も出来ることと出来ないことがあります」

さくらは部長の席の前に戻って手をすり合わせて必死になって断ろうとした。

由佳里が「さくらさん、おめでとうございます。いよいよあねごの出番ですね」

さくらになにかというと突っかかってくる大下が苦手だったが、あたしが一番古株だし仕方がないよと心の中で思いながら軽く受け流した。

「って云うか、遅い・・・出番だよね」
「わたし大井田さんのこと尊敬しています」
と言った。

さくらの向かい側に座っていた大下が
「アネごと一緒に僕もいよいよツア・コンの洗礼か」
「大下君、人ごとのように行ってるけどあんた」
「僕、アネゴを応援します。大丈夫です。アネゴはなんかあっても驚かないしなに僕は尊敬していますから先輩を」

「それって、ほめてるのけなしてるの」
大きな声に仕事をしている皆がさくらのほうを振り向いた。

「ちょっと大下君仕事のほうは」
思わず身を少し乗り出して顔は大下のパソコンを覗き込んでいた。

さくらは午後の会議に使う全国海外ツアー集客状況をパソコンでまとめていた。

入社10年海外旅客部全員からさくらは嘱望されていた。入社10年という長いキャリアからいつのまにか海外旅行の生き字引とさえ言われ部長の持田までもがさくらを頼りきっていた。

壁の時計は12時をとっくに過ぎていたのにさくらはエクセルで集計の計算を行っている。

「さくら、もう昼休みよ社食いこうよ」
由香里がさくらの肩に手を置いて誘った。
「あっ、そっかそっか行こうか」
すでに海外旅客部は皆外に出ていた。自分は正午も気かずに仕事をするなんて明らかに最近の若い子たちと違っていた。由香里に声をかけられなければ、まだEXCELLの仕事をしているところだった。EXCELLの集計をファイルに保存してパソコンのスイッチを切った。


「あのねええ、由香里教えてほしいの」
「私でよければいつでも」
「じゃ外のレストラン行こうよ、あたしおごるから」
さくらと由香里はエレベーターで1階ホールに下りて外のまぶしい光の中に吸い込まれて行った。

さくらと由香里はレストランの窓際に座った。
「部長から是非って言われて引き受けたけど・・・・・ああ困ったなあ。」

「困ることないよ。気を楽にしてやれば・・・・・ど
うって言うことないよ」
「それにさ、今朝話した大下までもお土産につけてくれて」

さくらも部長からの突然の話、三泊程度の韓国、香港ならばいいのだが、30歳を過ぎていきなり10泊のアメリカ東・西海岸ツアーに指名されて戸惑っていた。

私、何でも自身あったのに、一歩自分が引いちゃうのは歳のせいかなあとも考えた。
「ああ大下にはあんなこといったけど」
「あたしずっと前にヨーロッパのツアーの新しいパ

ックの企画でそれも部長とか課長のお供で行っただけよ」
「大丈夫よ、さくらさん頭いいしお客のクレームも機転利かせるし」

「いやだあ、あたしがカキフライ定食おごったからと言ってほめ殺し」
「絶対大丈夫、さくらなら」
「由佳里、で世界中お客様連れて・・・・・・・何
回」「う~んと百回位かなあ」
「どうっていうことないよ、さくらさん頭いいし、経験長いし」

4月11日 くもり時々晴れ

翌日のことさくらが出勤すると、部内にさくらがはじめてツアーコンダクターとして外国に出かけることが知れ渡っていた。

「ああ、大井田君」
と部長に呼ばれた。さくらはまた何か部長の提案があるのではないかと心配しながら部長席に行った。
「はい、大井田さくらです」

「実はね、さくら君が乗るアメリカン・ウエスト航空だけど、乗務員労働組合と会社側の交渉がうまくいかなくて、ストライキに入る公算大だそうだ」

「はっ、ストライキ、じゃあたしのツアコンもないんですね」
「いや、万一ストでも非組合員で運行するそうだ」
「わかりました」
といって席に戻りパソコンのスイッチを入れて頬ずえをつきながら
「こんなのあり」
ツアーのスケジュール表を眺め、ためいきをついた。

大下が、「さくらさんも始めてのツアー旅行がストライキでは気持ち沈みますね」
と人事のような話かけをしてくる。

「あのさ、大下君あんたもいくんだからね」
「わかってます」

4月11日 くもり時々晴れ

翌日のことさくらが出勤すると、部内にさくらがはじめてツアーコンダクターとして外国に出かけることが知れ渡っていた。

「ああ、大井田君」
と部長に呼ばれた。さくらはまた何か部長の提案があるのではないかと心配しながら部長席に行った。
「はい、大井田さくらです」

「実はね、さくら君が乗るアメリカン・ウエスト航空
だけど、乗務員労働組合と会社側の交渉がうまくいかなくて、ストライキに入る公算大だそうだ」

「はっ、ストライキ、じゃあたしのツアコンもない
んですね」
「いや、万一ストでも非組合員で運行するそうだ」
「わかりました」
といって席に戻りパソコンのスイッチを入れて頬ずえ
をつきながら
「こんなのあり」
アーのスケジュール表を眺め、ためいきをついた。

大下が、「さくらさんも始めてのツアー旅行がストライキでは気持ち沈みますね」
と人事のような話かけをしてくる。

「あのさ、大下君あんたもいくんだからね」
「わかってます」

4月14日 晴れ

その日、気の進まないままにツアー旅行日程表を大下にも渡して細かな打ち合わせをやっておかなければと思った.

さくらは、
「大下君、打ち合わせやるから早く社食いってきて」
「さくらさん、昼ぐらいゆっくり休ませてくださいよ」
「何いってんの、出発までに時間ないの」

さくらは部長から手渡されたツアー旅行スケジュールを側でコピーしてホッチキスで閉じて大下の机に置い
た。

さくらは大下のような新人類から見ればあくまでもお給料をもらっている以上働かねばという強い信念だった。

実際働いただけの実りも多い時代で分厚い袋のボーナス支給の札束を数えることが出来たのだ。

大下が上の階の社員食堂から帰ってくるとさくらは
脇の会議室のドアを開けて「それじゃざっとやろうね」
といって中に入り大下を招き寄せた。

さくらは、こののんびりした新入社員の大下を今のうちに鍛えておかなければならないと思っていた。
カーテンを下ろした小会議室で二人は向かい合っていたがさくらは時差・両替・出国入国手続き・パスポート・所持品・食事・チップ制度、万一お客様の間で体の具合が悪くなった時の対処法などを手短に説明した

「いい、大下たとえばお客様からこちらに不手際があって謝らなければならない時どうする」

「ええ、謝る、わかりますがどういう時」

「あなたね、どういう時ってたとえば間違って昼食を頼んでしまってお客からクレームがあった時」

「そこは正直に僕はまだ入社して1年生で」

「ブー、大下間違い」

「でも正直にありのままの自分を」

「いい、あなたが新入社員かどうかはお客様にどうだっていいの、たとえまだ1週間でもわが社のベテラン社員とお客様は思ってるの」

「難しいものですね、学生時代と違って」

「いつまでも学生時代の気分でいては困るわ、あなたはもう当社の社員だし、ツアーのお客様はあなたのことをもう立派なベテラン社員と思ってみてるわ。
たとえ、入社1週間でもお客様はこのツアーに任せておけば安心して外国旅行に出かけて楽しむことが出来るって考えてるの」

「さくらさん、わかります」

いつもさくらは何かと大下にからかわれていたが今日はこの新人をなんとしてでも鍛えたいと顔にも気迫が満ちていて立ち上がって右のこぶしでテーブルを時に軽くたたき迫力がある。

さくらは大下と話をしてるうちに、自分の頃と違って人との直接なコミュニケーションをとれず、いつもメールで対話している世代だから、こういうことも教える必要があると頭が痛かった。

「それから現地であなたにもガイドを少しやってもらうから」

「えっ、この俺が」

「誰であろうとそうやってガイド役になっていくの」
といいながら、さくらは壁際のガラス棚を空けて赤いファイルのガイドマニュアルを大下の前に置いた

「それって考えてませんでした」

「いいこと、もし、あたしが具合が悪くなった時、お客様に今日はガイドできませんていえないでしょう」

「厳しいな、会社って」

大下が一言さくらを見ながらつぶやいた。

その夜、家で両親と弟健二がさくらのツアー旅行出発を祝ってくれた。
母が
「あなたは、いつも自分でツアー旅行のコンダクターをやってみたいといってたわね、よかったね、さくら
」と喜んでくれた。

身体をあたためるすき焼きのなべがぐつぐつ音を立てている。
「今日はすき焼きよ」
「お母さん、ありがとう」
父が自分でコップのお酒を飲みながら
「さくらとしばらく会えないか、一番さびしいよ」
弟、健二が
「親父は僕がどこか行くといっても平気なのに、あねきのことになると、親父はあねき離れが悪いんだから

さくらは
「あのね、私今夜成田とまりなの」
「えっ、出発は明日夕方だろうが」
「部長がホテル予約してくれたの、それにいろいろ準備が」
「そうかわかった、身体に気をつけて元気で帰ってきてね」

京王線で新宿に着きあたりは真っ暗く夜の帳が下りていたが、変わってビルの灯が彼女に降り注ぐように照らしていた。

上野からは、京成スカイライナーで成田国際空港に向かった。
夕方から深夜にかけてはアメリカ・ヨーロッパ線の長距離路線のラッシュアワーが始まるのだった。
スカイライナーは全席満席だったが運のいいことにさくらは入り口付近の座席が空いていた。

いよいよ自分が明日35人のツアー客を連れて10日間の海外旅行を添乗すると思うと改めて身の引き締まる思いがした。

「ええ、でも、あたし、まだお客様を連れてっていう
か・・・」
お客様大勢いたらあがって小心者なんです」
「回数には関係ないよ、要はやる気さへあれば」
さくらは思い出していた。

成田国際空港の傍のオリエンタル成田空港ホテルに入
った。
「いらっしゃいませ」

「帝国観光商事の私、大井田さくらですが」
さくらは、少し緊張して自分の名前をいうと、
「ご予約承っておりますが持田敦夫さまから」

早手回しに持田部長はホテルの予約を頼んでくれてたのだった。
ホテルについてシャワーを浴びてバスローブに着替えて、備え付けの冷蔵庫から缶ビールを取り出して飲みながら旅行のスケジュール表を眺めた。

「ええと、第一日はサンフランシスコ市内観光で・・・ロスアンゼルスからニューヨーク市内、ナイアガラ行って九日目にハワイ・ホノルルかあ」

「大下に遅れないように」
そういってケータイを取って右指を忙しく走らせてメールを送った。
「当日遅れないように早めに来てね」と。

4月14日 晴れのちくもり次第に風雨強くなる

翌日、さくらは成田国際空港第二空港国際線ロビー構内のTV天気予報を見ていた。何よりも大下が言ったアネゴは嵐を呼ぶ男といわれたことが気になっていた。
国際線空港ロビーから見える晴れ渡った空を見て安心していたが、天気予報を見てこれからの天気を非常に気にしていたのだった。
「今日ははじめは晴れですが次第に雲に覆われて低気圧前線の関係で風速が強くなり、陸上で15メートル以上、海上では25メートル近い春の嵐が・・・・・」
見ながらさくらは、大下の言うことがいまさらのようによみがえる。
「えっ、大下の云うこと本当じゃない、大変だょ」
「まだ、早いよ、出発5時までまだ5時間あるよ」
腕時計を見つめながら少し早すぎたかなと考えた。

さくらはとても用心深く、高校時代も友達と旅行するときもいつも予定より30分も早くついて皆を待っていたので、深見洋介から「用心さん」とニックネームをつけられた。後ろから
「さくらさん、」
由佳里が平井を連れてきていた。さくらは振り向いて
「ああ、由佳里さんに、平井どうしたの?。駄目じゃないの仕事しなくちゃ、二人ともどうしたの」
思わず言った。

由香里は、
「部長から大井田君、初めてだからちょっと平井君連れて行って励ましてやってくれって」
それを聞いてやっぱり部長は、あたしがしかも30歳を越えてアメリカ10日間ツアーに行くことを心配してくれてるんだ。
「ありがとね。二人とも」
「ところで大下ここで会おうといったのにあいつまだ来ないの」
「大丈夫ですよ、必ず来ますよ」
その時、大下が黒いスーツケースを右手で引きながら走ってくるのを見た。
「あねご、さくらさん」
「どうもごめんなさい、時間に遅れて」
「あのね、時間に遅れないことは添乗員としては基本なの」
「ぼく、間違えて第一ターミナルのある駅で降りてしまって」
「はっ、昨日打ち合わせしたじゃないの」
大下が
「アネゴ、飛ぶんですかストライキ中って書いてあるし」
「まあ、飛ぶんじゃない」

ここでいまさら心配しても仕方がない。この航空会社は今までもストライキをやってきてると部長もいってることだし、ここであせっても落ち着いていないととさくらは思いなおしていた。

由香里が
「心配だったの、で、ホテル電話したら。居なくて」
「ありがとう、持つべきものは後輩かあ」
「ツアコンやってると何が起きるかわかんないの、突然、予想しないことが起きて」
もう百回もツアー添乗をしている由香里の言葉は真実だった。
さくらは、はじめて部長からの命令で、しかも三十路を越えた私がいくのにいきなり予想もしない出来事に遭遇し、
「突然っていうか、あのさ行く前から、飛行機ストライキなのよ、でも飛ぶらしいけど、あんまりだよ。こんなのないよ」
と飛行機のストライキに、さらに天候異変で春の嵐まで吹くなんてと思わず口にした。

「そういうときこそ落ち着くの」
由香里は、さくらに助け舟を出そうとしていた。
「落ち着くって」
「あのね、うちの祖母が言ってたけど、手のひらに人っていう字を書いてそれを飲み込むの」
「ええと、こうやって」
と言って飲み込む
「どう、落ち着いた」
「う~んん、落ち着かないよ、ああお客様に説明してわかってくれるかなあ、ツアー料金返せって・・・・・・ああ困った」
自分で、さくら、そんなことでどうするの、やるっきゃないでしょう、頑張れさくら、暗示をかけるように頭の中で何度もことばを繰り返して見た。
「とにかく飛行機飛ぶって云ってるんだから、安心してくださいって何回も云うのよ」
「わかった」

「あと、時として、はじめてのお客様に多いんだけど、緊張してしまって具合が悪くなる方が」
「そういう時、緊張して酸素欠乏症になるの、ええと・・・・・・・・。」
「過呼吸酸素症候群でしょう?」
「、ああ、そうそうそのそれ、それ、でも必ずお医者様いらっしゃいませんかとアナウンスしてね。でビニール袋をお客様の口にあてて息を吐き出させるの。そうするとよくなることもあるの」
「うん」

くららのベテランツアコンの話を聞いていた大下がくららの顔をしみじみと眺めながら、
「さすがですね、ベテランは、僕初添乗するときは由佳里さんについていこうかなあ」
由香里と一緒にいた平井がそういった。
さくらは、こんな質問をしてくる平井君って、競争の激しい旅行業界で生きていけるのか、もう少し真剣に勉強するとか努力してほしいと思った。
「何言ってんの、二人って言うわけいかないの」
「どうしてですか?」
「あのねえ、団体の海外ツアー添乗員は全部の費用から差し引いて一人分の費用が浮くの、二人行くと赤字なの」
「そんなに厳しいんだ」

のんきなことを言ってる大下に、さくらは、
「私がアメリカから帰ったら部長に、香港ツアー3日間ツアー、大下にやらせてくださいといっておこうかなあ」
「そんな、さくらさん、僕まだ入って半年ですよ、最初は今日と同じように、誰かと一緒に」
「なに、あなたは甘っちょろいこと言ってるの、自分で調べて苦労して一人前になるの」
とにかく大下と一緒になると、つい大下を一人前にしなければと思うあまり、火花を飛ばしてしまう。

「さくら、あと、両替はなるべくこっちでアメリカって時間によっては開いていないし、フイルムもこっちが安いし、それからツアーの時間厳守はうるさく言って」
「日本人って時間ルーズな人がいるよね」
「バスで移動するとき、時間守らなくて遅い人いるじゃない?。皆も迷惑そうな顔するけど、ドライバーが大切な時間を返せって怒り出すの、気をつけてね」
「ありがとう」

「あと、ニューヨークからナイアガラ行くでしょう?。ホテルにパスポート忘れてしまう人がいるのよねえ」
「なるほど」
「ナイアガラ滝って対岸のカナダ滝がスケールが大きいじゃない。忘れるとカナダ領に絶対入れないの」
「そうだよね」
「そうするとお客様がなぜ教えてくれないんだって、自分が忘れているのにツアコンが悪いと怒り出すの、だから」
「由佳里、いろいろありがとね。平井君も留守中しっかり頼むわ」

さくらは、帝国観光旅行社の小さな旗を持って
「こんにちは、私は帝国観光旅行株式会社、エンパイア・ツアーの皆様をお世話します添乗員の大井田さくらと申します。これから搭乗券をお渡しいたします。」
と言って皆に搭乗券を配った。

「よろしいですか?搭乗券はパスポートと一緒にお持ちになってください。
では、次に出国手続きについて」
さえぎるように団体客から
「大井田さん、あなたは手続きって言っておられるが、あそこのカウンターにはただいま、48時間スト決行中と書いてあるじゃないか。」
「そうよ、私ははじめての海外旅行で楽しみにしていたのに何なんですか、これは?」
「そうだ、そうだ」
「さくらさん、もし飛行機飛ばなかったら、旅行費用全額返してくださいよ」
「帝国観光旅行社さんならって信頼したんだけど」
「二日前に会社からは連絡あったんだけど・・大丈夫と思ってきたら。」
さくらは、ツアー客の異様な雰囲気を感じていた。でもこちらが落ち着かなければねえ、
「皆、皆様、あのおっしゃられることはよ~くわかりますが、どうぞ私の言うことをよくお聞きください。お願いします。」
「いくら、お願いしますって言われても」
「航空会社のカウンターにはスト決行中の表示がありますが、組合員以外の非組合員で運行するとの返事を得ていますので、どうかご安心ください」
「非組合員っておっしゃるが、部長とか課長が飛行機飛ばすんですか?」
さくらは、ツアー客の中年の紳士の思いがけない質問に戸惑うが、
「これは、アメリカの航空会社の組織になるので日本と事情が違うようなので、まあ、組合に加入していない非組合員が運行するという返事を得ておりますのでその点はどうぞご安心ください」
と言いながら
「あの、皆様アメリカン・ウエストのカウンターで出発時間の確認に行って参ります。」

カウンターで話しているさくらと航空会社係
さくら小走りで皆の居る場所へ帰る。
「皆様予定通りの時間に出発出来ることが確認されました。ストは行っておりますが非組合員で運行いたします」
「大井田さん、ああほっとしました、なにここにいる女房がもし中止だったら私は殺されるよ」
「さくらさん、私はやっぱり帝国観光社さんに申し込んでよかったよ」

ここでいまさら心配しても仕方がない。この航空会社は今までもストライキをやってきてると部長もいってることだし、ここであせっても落ち着いていないととさくらは思いなおしていた。

由香里が
「心配だったの、で、ホテル電話したら。居なくて」
「ありがとう、持つべきものは後輩かあ」
「ツアコンやってると何が起きるかわかんないの、突然、予想しないことが起きて」
もう百回もツアー添乗をしている由香里の言葉は真実だった。
さくらは、はじめて部長からの命令で、しかも三十路を越えた私がいくのにいきなり予想もしない出来事に遭遇し、
「突然っていうか、あのさ行く前から、飛行機ストライキなのよ、でも飛ぶらしいけど、あんまりだよ。こんなのないよ」
と飛行機のストライキに、さらに天候異変で春の嵐まで吹くなんてと思わず口にした。

「そういうときこそ落ち着くの」
由香里は、さくらに助け舟を出そうとしていた。
「落ち着くって」
「あのね、うちの祖母が言ってたけど、手のひらに人っていう字を書いてそれを飲み込むの」
「ええと、こうやって」
と言って飲み込む
「どう、落ち着いた」
「う~んん、落ち着かないよ、ああお客様に説明してわかってくれるかなあ、ツアー料金返せって・・・・・・ああ困った」
自分で、さくら、そんなことでどうするの、やるっきゃないでしょう、頑張れさくら、暗示をかけるように頭の中で何度もことばを繰り返して見た。
「とにかく飛行機飛ぶって云ってるんだから、安心してくださいって何回も云うのよ」
「わかった」

「さくらさんはたいした人だ、あそこにスト決行中と書いてあるのに飛行機飛ばさせるんだから」
(何いってんのよ、さっきまで皆あたしを責めまくって、これってあたしへのごますりっていうわけ)
と心の中で思いながら、
「皆様、本当にご心配、ご迷惑をおかけしました。それでは出国手続きのため向こうのゲートに参ります」
さくらは、とにかく乗客には丁寧なことばで話しながら、これから十日間、大下と一緒に行動をともにすることについて気が重かった。






                                








































































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今月の書評「女性の品格」坂東真理子 PHP研究所刊

昨年病院に行く途中、駅の書店で目に止まったのがこの本でした。
その時、30万部(現在200万部)突破ということで、なにか診療を待つ間、さらっと読めてさわやかな感じの本はないかと探していたので早速購入しました。
「国家の品格」が出て、それ以来、品格ということばが盛んに用いられるようになって、ついにNTVテレビドラマさえ、派遣社員300万人といわれており労働市場も様変わりですが、「ハケンの品格」が放映されました。

余談になりましたが、「女性の品格」を読んで見た感想は、

品格を保つための項目が60項目以上ありますが、読んで目だったものはなく、古きよき時代と新しい時代のモラルを融合させてほしかったと思いました。
たとえば、お礼状はすぐに出すとか、人に感謝の気持ちをすぐ伝えるとか、つつましく振る舞い、自分を主張しないとか、目上の人を尊敬するとか、一昔前には、女性が守っていた常識的な内容が多く少しがっかりしました。
もっと新しい時代に即したフォーマルな場合とインフォーマルな場合とのことばの使い分け、
ケータイで外で話すときには小さな声で話す、車内でお化粧をするのを控えるとか日常起きているささいなことも言及してほしかったと思いました。

面白かったのは、会社でもご近所のお付き合いでも、特定のグループには入らないことという項目がありましたが、グループでも中にはあまり有益でないものもあるかも知れません。
つまり、それに流されて、自分の目的を失ったりすることです。
新しい時代に対応してほしかったのは、語学とか自分の趣味を広げるためにスクールにいくとか、テレビで学ぶということです。

また、高級な物を持ちなさい、いいものを何年も使うことは理解できないでもありませんが、安いものを買って使うのも今の厳しい経済情勢では当然ですので、これはあくまでも個人の意思決定にゆだねるべきであり、女性がこれによって品格があるかどうかの問題ではないと思いました。

昔は家族も二代が同居していて祖母から、母へ、母から娘へと語り継がれて自然にマナーが継承されてそれぞれの品格が形成されていくと思いますが、今は核家族でどういう風にエチケットを身につけたらわからない、誰も教えてくれる人がいないので、そういう意味で家庭に一冊あってもよいのではと思いました。

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